著者は木工道具を扱う刃物店の店主。今は木工道具も機会化が進み、手道具、鉋や鋸は替え刃の時代になってきています。主要から補助的な道具へ成り下がっていってしまっています。ですが、機械にはできない手道具ならではきめ細かい仕事もあります。
今は職人の高齢化が進んで、もう作る人がいなくなって出来ないモノもあります。今と違い昔の機械のない時代の道具を作る職人も、使う職人も腕がよかったんだなあと思います。
道具屋という立場から様々な名工、名人達との、千代鶴是秀や長谷川幸三郎などの逸話なども書かれています。職人は苦労して名品を仕上げても、値段にそれに見合った対価はつかないのに、なぜ「職人」はそのような苦労をしてまでやるのか?それが職人だからと言えば簡単なんですが、本でも自己満足の範疇ではあるが、道具を作るのも使うのも道具がなかなか言うことを聞いてくれないからとあります。私も今は機械で簡単にできるので使わなくなってきた面鉋や特殊な鉋などを持っていますが、言ってしまえばそれもこれらを使いこなしたいと言う自己満足の範囲なのかなと思います。
道具に興味のない人には???な内容だと思いますが、手道具に対しての考え方、手道具の製作の背景などの見え方が変わると言うか改まるような思いになりました。
下山