つい最近まで現役職人だった御年82歳の師匠が若い頃製作された建具です。
この方は職人には珍しいおしゃべり職人で、その喋りでよく人の手を止めていました。
今でこそ若い衆が仕上がりや製作法、職人間の空気、また社長が目を光らせていて追いつめられることはありませんが、私は毎度のことで顔が上げられないことがよくありました。その時、おしゃべり職人さんが「お前のオヤジは何歳やー?」など訳の分からないことを唐突に言うものだからハッ!として我に返って平常心を取り戻す、こうして助けられたことがよくありました。年長者の役割、値打ちをよく他に現わしておられた素晴らしい方でした。
人それぞれだと思いますが、最近私は黙っていると向き合うものが商品と自分だけで神経質になってしまって逆に良いモノが出来ない。
「今日は天気がいいですねー」の一言が、
製造現場の根詰めた空気を明るく一変させます。
その一言で怪我や事故の9割は未然に防ぎ、生産率も右肩上がりの良い事ずくめになることまちがいなしだと私は思う。
福西