「越後屋、おぬしも悪よのぅ」
「いえいえ、お代官さまほどでは」
水面下ではこんな会話が聞こえてきそうな、人間の情の隙間を掻い潜ったシーンに最近はなぜだかよく引っ張られます。
音信の途絶えていた人からの突然の電話。
手短に話を済ませ、「まーとりあえず会いましょか、積る話もありますし。ヒッヒッヒ」
何か含みがあるとは感じつつ、この人の誘いなら仕方がない・・会うのも悪くないか、
と出かけてみる。
と、やっぱり。
キレイに見せかけた大人の計らいがその人の後ろから見え隠れする。
「は!そんなしょうもない事でわざわざ呼び出したのですか!?!
私、失礼しますッ(怒)!」と、喫茶店のホットコーヒーをオヤジの顔面にぶっかけ、
テーブルをひっくり返して背中を見せてヒールでカツカツ闊歩して帰ってやる、、
一番テレビの視聴率の伸びるシーンです。
ちょっと話が飛躍しましたが、そうしたいのを必死にグッとこらえます。
これ限った事ではありませんが、先方は良かれと思って下さっている誘いに対しお断りしたい場合、はっきりきっぱり、「それは出来ません」と伝える事が正しいと思います。
けれど、このオヤジの場合、私は以前にはそういう影を感じさせない人であったのに、
この音沙汰のなかった期間にこの人の身に一体何があったのか、そう私に言わねばならない理由は何か?を勘繰ってしまいました。
だから、話はそっちのけで「お時間の無い中に大変ですね。お体壊されない様にして下さい」と知らぬ間に口走っていた。
すると不思議な事に、オヤジが話を切り出さなくなった。
というか、働き手にならない私に言ったことが間違っていたと感じたのだろう。笑
豆鉄砲を撃たれたのか、小さくとも善なる心を持ったオヤジは、しょうもない事を持ちかけた自分に反省という名の何かを感じてくれたのなら、これはこれでコーヒーをぶっかけなくて良かったかな、と思う。
ピシャリと切ってしまうような断り方よりも、その人の身になった事が功を奏し、今回はかわいいオヤジであっただけに事なきを得たのだが、
ミナミの帝王の萬田はんレベルが次回来たら、私は太刀打ち出来ない。。
家で話すと、情で引っ張られる私の脇が甘いそうだ。
世の中を甘く見た、私が反省すべきだと思った。
福西