たてぐ名探偵

2020/06/03 | Categories:ブログ

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事件です!
入社以来の謎が解明されました!!
以前、網戸の頁で触れましたが、建具屋さんというのは店ごとにその親父(社長)の意向を踏まえた建具の体裁が違っています。
今日は鴨居下、くくみ下げに面を取るか否かでベテラン職人さんと談義しました。
曰く「今までは面を取ってきたけど、ここに来たら取らんねや。」と。

そうです、大西商店は引き戸には手の触れる箇所には面を取りますが、触れない箇所には面を取らない、それが大西オリジナル。

職人さんはしばらく熟慮されて、こう言いました。
「うーむ・・・、取らないでおこう。」(神様っ!と私は思った)
そして続けざまに
「お茶室の建具なんかは、スッキリと見せるために取ってないはずや」と。
ヒー!と、私は鳥肌が立ちました。

建具は、角(つの)といって出来高にプラス足と手を付けますが、このバランス、
面の大きさも親父の意向で定寸が決まっています。
納まってしまえば、ただの不要な部分にすぎませんが、無駄の部分に美的観念を持っているというその矛盾。

というところで、ひらめいた!!

面を取ると、手間をかけているという見方ももちろんありますが、
それが「日常」になるという事ではないかと推測します。
ハレとケの世界観が面ひとつに表されているこだわり。

工場の技量で製作した商品は出荷されるときには完成させない美しさで
スッキリと華奢に魅せ、現場の技量で面を取る。その所作こそが雅。

合理的、採算を考えれば先に面を取っておけば後の手間が楽なものですが、
これはやはり茶の湯の和の世界観。
羽織などの表地ではなく、襦袢に自分だけが知っている飾り刺繍の化粧。
日本人特有の「粋」そのものと通じるものがありますね。

謎がハッキリと解明したのでありました。
毎日、おまわりさんのいらない、事件続きの製造現場であります。
知れば知るほど面白いなぁ、建具。
福西


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