勝負師

2021/03/15 | Categories:ブログ

2年前に製作したお寺のお堂の正面、引き分けの格子戸の前の「結界」という仕切り建具を今回製作させていただきました。

両面一分面の指示でしたが、仏様の面前半外部とあり、留め先が剣になる馬乗りではなく、胴の厚みをもたせたまたぎの腰型胴付きという仕口にさせて頂きました。腰型仕事は、その職人がどこまで腕に自信があるか勝負しているかが如実に現れる大変難しい仕事です。鋸一発か、のみを押すか仮組をするかしないか。またはしたとしてもいつまでもトンカントンカンやっていると「傷だらけなるどー」という嫌味が職人から飛んできて次第に顔が上げられなくなる…ひと昔前にはこういった光景が職人世界では度々ありました。

まぁ、これはひと昔前の笑い話ですが、確かに社長の前では仮組の回数さえ、かなり慎重になったものです。。

今回はたった3㍉なので、一発本番の胴付き寸止めで調整してみました。こういったお仕事が増えると、刃物をよく切らさなければならず、必死のパッチになっていくわけで技術職の醍醐味です。

百年しても胴がすかなければと願い、無事に納めて戴けたようで感謝です。

福西


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