愛の反対は無関心

2020/08/07 | Categories:ブログ

先日、職業訓練校の同期で、道は違えど同じくプロの家具職人としている友人と会う機会があり活躍を聞かせてもらい嬉しかったです。

料理家の土井先生が「欧米のモノ作りは進化、日本は深化」と上手く表現されていて、家具の製作現場の話を聞いていて、これは拓けていく家具と、そして掘り下げていく建具にも当てはまる様な気がしました。

話は色々と飛んでしまいますが、今日は開き扉の定木を打ち付ける加工をしていました。並物であれば釘打ちが早く妥当です。仕上げに釘の径だけの穴が開いてしまい埋めたとて不格好ですが、荒削りのままに加工し後に仕上げれば、摩訶不思議糸も通せぬ程に塞がってしまう、これは私の技術ではなく何代も伝え築かれた建具職人の知恵です。「手間と時間と場所と労力」の要らぬ様になっているのが先人の建具技術。

景色がジェットコースターにのっている様な、職人たちの「早くてキレイ」が桃源郷でなく現実味を帯びていた頃、建具の勘所に触れる度、どこからともなく(愛の?)指摘が入りました。出来なければ嫌味も飛び交い、外からの干渉があって職人たちは必然に腕を上げ合いました。

現在の職人たちが、もし知識を寄せ合い、披瀝し、大いに議論し合うコミュニケーション能力に長けていたなら、もしかしてその時代の職人を上回ることが出来るかもしれないな、と私は思います。

それが出来た時「職人」という呼称は無くなって、「技術者」の新時代となるでしょう。

などと、夢見ています。

最近エッセイストと言われて調子に乗っている福西でした。


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