つい先日製作させていただいた店舗の建具です。
雨戸に似せた物置の引き戸です。
物置ですから、表面は浮造り加工された現状のまま、問題は木裏にあたる裏です。
物置の「裏」はそれを見る生き物がいるとすれば迷い込んだ猫ちゃんくらいでしょうか。
要するに仕上げる必要がなかった訳で、手配された杉板も上から下から順目のお転婆娘。
板によりけり、賢い職人さんだったら、自動鉋でかけたっぱなしです。
でも、私は、ちょっとだけ、ちょっとだけいいかなー、、と手を出してしまいました。
そして、案の定やっぱり手鉋仕上げで脂汗をかく・・。
「やばいな・・・」と思うのはいつものことです。
杉板はスピーディーに、そして厚く削った方がよく切れる材ですが、今回は板の長さ真ん中で鉋を抜かせないといけません。
暑く削りながら真ん中で抜く、そして鉋境を出さない。
これでもかとやってみて、「物理的に無理だ…(汗)」と思いました。
でも、ひらめいた!鉋境は子桟で隠すことを思いつきラッキ〜♪今回も木の神様に助けてもらいました。
職人は、物理的に不可能なことを可能にしていく技術を持ち合わせます。それは、知識でなくて知恵の領域。
私に杉の薄削りの技術さえあればそれこそ可能でありましたがそれは次回に持ち越しです。
建具職は楽をすればよいものですが、意固地にこうして、いちいち戦っているのが面白い職業です。
福西