お陰様で、先般の戸襖が工場では先ずは完成をみました。残すは現場での建付けの技術を用いて納めてもらうのみです。この姿を見て、店(大西商店)の建具だなぁと、究極のトライアングルだなぁと思いました。
ひとつ工場製造、ふたつ現場建付け、みっつ経理の三角形。最後に舵取り、納め処を見定める各箇所の統合役の図柄が会社です。
先日のプロのお話ですが、私が知っているその時代のプロはたった一人です。プロは訳すと「割り切った」「従順な」という私の勝手な解釈ですが、巷では「会社と職人が仲が良くてはいいものは作れない」といい、血の気の多い当時の他の職人さんたちは「我こそはいいものを」と語弊がありますが会社と戦っていました。言葉を足すことなく、手間をかけいい仕事をしました。最上の仕事は、現場建付け、またお客様にとってはもしかしてそれが良いのかもしれません。
この戸襖の芯材は、普段、無垢材の建具の木取りをする際、無節で取れなかった部分を有効利用します。ですから、真っ直ぐな木はなく、知恵と経験を加えて適材適所、納まるところを見極めて使うことが、工場職の値打ちであり、技術です。高価な、楽に使える材料を使えば、反りのない素晴らしい戸襖を作ることも出来るかもしれません。
でも私も知らない大昔のトライアングルの先輩方が、落とし処を話し合い、会社全体の材料のサイクルも考えてこう作ろうと決めたのだろうなぁと思いを馳せると、なんだかとても尊いものに思えてきました。
時代の変化に伴い、もっと速くてキレイな方法があるやも、またはひとつ手間を加えた方が良いやもしれません。
でも、何か型を崩す時に必要なのは良識です。現代の職人に求められるものは多くなりましたが、これでご飯が戴けていると思うと有り難いなと思います。
福西