昔、職人の格付けに、上から「金筋(キンスジ)」「縄文師」「職人」「中習」「見習い」「坊主」とあったそうです。
建具の世界は合理的というよりは情緒的なところが面白みな気がします。
たとえば、建具の障子の類いは軽く魅せる事重要で、組子のはめ合いの硬さ、こつく回数も決まっています。組み立ては金槌であり框戸ではないので玄能で組むのはとても不粋とされています。つば付きを入込む折には職人の腕っぷしが明かされる勝負所。手で包み込む様に入れ込んでいきますが、実は手痛かったりするけれど顔には出さない様に努めます。ホゾを木殺ししたり叩き入れたり、穴を末広げたりするのはとても野暮ったく、社長の雷が落ちます。
製作過程にその職人の華麗さが現れることがとても粋で面白いのですが、その様な視点を持って、見る目、聞く耳を持っている人が一体どれだけ居るでしょうか。
合理的だから良い、という技法の真逆にあるもの。自分考えではとても及ばないから技術伝承が大切なのが建具の奥深さ、奥ゆかしさ。その一流を金筋というのでしょうか。
そうそう、工場の仲間が新しい道具を購入したようです!新しい道具を見ると、他人事なのに自分事のようにワクワクして嬉しくなります。道具に、仕事に惚れ込めることはホントに有り難いことですね。福西