男の人でも一人で振り回すのは大変な大きな重たい建具の大手材の目地払いそれだけを数日間、ずーとさせてもらっていました。
プロになりたくないプロですが2000円の鉋で、刃先に厚みを持たせてどうにかしのぎ、全てを納めて頂けそうです。段取りを全く考えず、技術だけに集中させてもらえるのは一体いつぶりか…そして近くに蚊が飛ぶだけでも気が取られ「あぁ、作るってこういうことだった」と思い出しました。雑念があると仕上りに影響し、刃物を使う仕事は難しいと言うことです。
そして珍しい組み合わせのメンバーで、「平均年齢の高いこと」に気がついてしまいました。途端にこれは値打ちをこかないといけないぞ!と思いましたが、何も素晴らしいものを作れということではなく、平成生まれと同じではいけないということで、仕事の中での気配りです。コミュニケーションは生産性を生む一番の方法。
それにしても、世の中はなかなかに非情だなぁ…と私は思う。前述の様にモノづくりは難しい。さらに追い打ちをかけて主導する人には「やれ納期だ、やれ仕事を回せ」だの、自分は丸鋸を回しながら、時間内に納めなければいけないのですから。
全員がそうではけしてないけれど、昔気質の職人といえば、ぶっきらぼうで言葉を使うことが不得手。いいモノの作るだけに集中することを思えばそれで十分なのです。自分の表現に嘘がないので、返って信用できる人柄だと私は思います。
ではまた逆に、目上の方や誰とでも分け隔てなく接し、必要な言葉を使い、自分は気を遣って相手には気を遣わせない類まれな職人さんが居たとしたら、簡単に見過ごすのではなく、もっともっと評価されるべきだと私は思います。
昭和のアイドルは歌が上手いだけで良かったけれど、今は美貌も必要ですからね。職人にも様々な要求がなされる、難しい時代です。磨き甲斐があるやもしれませんね。
福西