「それでは私の女が立ちまへん、あの人の男も立ちまへん」
少し前に観た時代劇のフレーズが妙に残っています。そして【男が惚れる男気】を最近目の当たりにした気がします。そんな生き方っていいですね。
ところで、もう何年も前の話になりますが、工場に初めてNCの機械が入った時の事を思い出しました。
腕一本でやってきた職人さん達にとって、機械は敵。負けてたまるかと、そういう時代の風潮があった当時です。
ある一人の職人さんだけは、機械の技術を自分のモノにしようと、異様なまでに誰の目もはばからず必死でした。でも、その気迫が周囲を納得させていく、誰も敵わなくなるのです。
「あぁ、技術を自分のモノにするとはこういうことなんだな」と見習いの私には強く印象を残しました。
職人はサラリーマンとは少し違って、聞き分けが良過ぎず、意固地な面も少しある方がいい、そして仕事だけしていたら身につく仕事ではない。でも、周りが見えなくなる程、はまり込むと危ない仕事です。
そのバランスが相当難しく、それは自分にしか分からないのです。
格言う私も、引き継ぎがあって新たに担当させて頂くお仕事もありますが、そのまた次に、正しく引き継いでいける様な技術の覚え方をしたいなと思っています。
繊細な気遣いに男っぷりを感じ、気前の良さに女っぷりを感じる。
そんな視点を持つようになったのは、歳を重ねてきたせいもあるのかな。
最近そんな感じだ。
福西