遠慮しぃ、遠慮なし。

2012/10/26 | Categories:ブログ

工場はまだまだ勧業展の話題で持ち切りです。お越しいただきました方や、来られなかったけれど気に掛けてくださった皆さま、本当にありがとうございました。

という事で、小休憩となりますかどおか、私、福西は工場のレポートをさせて頂きます♪

 

大西商店の工場には、「強い人」が居ます。何が強いかと言うと・・・

私たちの仕事に置いて、もっとも危険な作業、それは木を製材することです。
専門的に言うと、丸のこむき出しの昇降盤で木を割るという作業になります。この作業を2日、3日続けると、おそらく翌朝は、頭は起きてるけど体が動かない起きてこれない・・・という事になるのが普通ではないでしょうか。なぜかと言うと自覚はないけれど神経が疲れているからです。

ベニヤ板ではなく無垢の木であれば、また材料が大きければより一層危険です。一本、一本、木によって乾燥度合や木の持つ癖も違うので、反発があり、節に当たれば材料ごとはじき飛ばされます。切り落とし材も強い力で顔に体に飛んでくることもあるのです。
ですから、作業の際は常時、神経を集中させて、耳から手先から、切削抵抗を感じ、一瞬の判断をしなければいけません。

大西商店の「強い人」は、そんな作業が3日4日続いて、きっとエライはずなのに、微塵もそんな事を感じさせず寡黙に作業されています。わたしは、過去にその「強い人」から様々な事を学ばせていただきました。その一つはこうです。

大西商店は3階建てなので、自分の作業台の無いフロアでの作業の場合、「道具を取りに階段を上がっている時間が無い!」ことがまれにあります。そんな時の「強い人」はこうでした。

「〇〇さん、ちょっと悪いけど荒い鋸貸してくれへんか?」

例えばの話、
「〇〇さん、切れへん鋸貸してくれへんか?」
と言ってしまえば、「そんなモンあるか!」と気を悪くしますね。

また逆に、
「〇〇さん、切れる鋸貸してくれ」
と言うと、職人の世界では他人に道具を貸すと調子が悪くなるということがあるので、本来はご法度です。だから意図的に「強い人」は遠慮して「荒い鋸」と、または遠慮しないで「貸してくれ」と言われたのだと思います。

 

第2話ですが、
その「強い人」はいつも、使いたい機械が他の作業員と重なってしまう場合には、
「〇〇さん、今から手押し鉋盤使うなぁ~」とか、「パネルソー、まだしばらく掛かるなぁ~」と、相手に「ハイ。」と断り易いように、必ず断りを入れられる余白を残して聞いてくれます。製造業は、早くてキレイに作ることが第一です。会社一丸となっているとは言え、自分の仕事は進めなければいけないので、毎日が競技です。そんな中で、人を優先させられる「強い人」から学ぶことは多々あるのです。
技術職ですから、そこのけそこのけ先輩が通る!ということも出来ると思うのですが、その方は上にも下にもいつも同じ態度です。
そんな「強い人」さんだからこそ、ここぞの時には、
「どーぞ、強い人さんやったら、先に使ってください!」
「あ、そう。悪いなぁ~(ニヤリ)」という事になるのですね。

思いやりの遠慮はここぞ!では遠慮なしの効き目があるのですね。
勉強させて頂いております、福西でした。


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