鳳凰の大翼

2022/03/06 | Categories:ブログ

先般の「刃物たるべく職人の昭和」著本の一節を引用しますと、「名人という称号は建具の質を見極められる施主なり統率者にかかり、製品の出来の良さだけで認知されてゆく他ありません。よって「アイツは別格」と言われるようになるには相当な技術的優位を示しつつ、ただ日々の仕事の誠意だけの積み重ねで【信頼】を得てゆくしか方法はないのです」

ここに、この著者の意図が込められているのではと思いました。建具の絶対基本角度は90度ですが、職人に限らず「経験」を積むその行為が、モノづくりにとって良い場合と、要領を得てしまう作意につながる両極端を含む危うさがあり、90度であるはずの建具が心の持ち様によってはヒシャ曲がってしまうことは案外容易いものです。

周囲の甘い言葉が真意か喝の言葉が否か、表面的な部分に翻弄されない自制心、これが建具を建具たる90度で保ち続ける名人への秘訣だと私は思っています。

ただ「誠意」、これは口の重たい職人にとっては「言葉」ですが口数が多ければよいということではなくただただ「実直」。それを評価してくれる世間が必ずあるという希望の元に「実直」。
建具を90度で作り続けることは実は非常に難しいことだと思い、著者に敬意を、またこの本を読むきっかけを与えてくれた職人仲間にも感謝で締めくくりたいと思います。

福西


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